美術茶論

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ライブギャラリーBe.Too
第55回ベスト10発表

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2003年01月14日〜02月02日

ぺっこり夢 2003/01/14/〜2003/02/02投票順位 

順位
作品ナンバー
作品名
会員名
レイティング
展示数
選出数
1
0199-0006-11
 揚羽のパヴァーヌ
 Giorgio de Cama
17.0
6
6
2
0099-0032-09
 うれシーサー  わたなべ あや
9.0
5
2
3
0299-0030-05
 ガマン大会  開楽 智治
7.9
9
7
4
0099-0002-87
 恥ずかしがり屋のポスト2  佐藤 隆俊
7.7
14
9
5
0099-0009-58
 雪子鬼くんが帰った日  日南田 淳子
7.5
1
1
6
0099-0009-39
 今年もよろしく  日南田 淳子
7.1
16
6
7
0199-0021-26
 もの想ふ  荒木 陽子
6.9
8
6
8
0099-0017-54
 花のある風景 うず  木村 伸子
6.2
7
4
9
0099-0032-02
 温泉猫−おせち−  奥岡 麦
6.1
1
1
10
0199-0033-01
 イルカ  NORA
6.0
1
1

●○全体の動向○●

14日から始まった、新しい閲覧/投票画面はたいへん好調で、投票数も大幅にアップしました。
忙しい中、プログラムを組んでいただいたTooの足利さんに、click!networkの会員からも感謝の声があがっています。
モニターで協力してくださった方々も含め、この場でお礼いたします。
どうもありがとうございました。
手を入れれば効果が上がることは、はっきりしたので、これからも頑張って行きたいと思います。

今回の特色は、男女比が1:4と大きく女性側にシフトしていることでした。
投票数の伸び率からみると、20代から30代の女性層が大きく伸びており、インターネットの状況をみると大変興味深い動向を示しています。
このあたりは、今後の動きを見て行きたいと思いますが、新しいものに対しては女性層の意見が重要なので、この流れは歓迎すべき傾向と言えるでしょう。
10代の方も増えてきているので、このまま広がって欲しいものですが、日本のお父さんたちにも頑張っていただきたいですね。

ベスト10の動向として、大きく分けると、固定ファンのついた作者や作品に対するものと、新しい作者や作品に対する2つの流れがあるようです。
今回も、3つの作品が初展示でベスト10入りとなりましたが、続けてベスト10に入るには、やはり固定ファンがつくかどうかが決めてとなります。
良い作品はたくさんありますが、プロとして発展するためには、固定ファンの広がりがかかせません。
サポーターとしてのファンの方と作家を結びつけるもの、そのあたりも課題になりそうです。



●○個別作品の印象○●

ベスト10の上位の作品は、力強いサポーターの方々に支えられています。
Giorgioさんの「揚羽のパヴァーヌ」は、そう言う方々の力で今回もトップとなりました。
Giorgioさんの作品は、決して一般的なジャンルのものではありませんが、新しいものはそういったマイナーなところから生まれるものです。
カリグラフィと装飾的なイラストの融合と言えば、どうしてもミュシャやアールヌーボーの組み合わせを思い浮かべますが、Giorgioさんの場合は、敢えて自分のこだわるところからスタートしているので、なかなか形が見えにくいところもあるでしょう。サポーターの方々に支えられて、21世紀のアールヌーボーを目指していただきたいと思います。

わたなべあやさんの「うれシーサー」は、前回10位でベスト10入りをして、やはりファンの方が増えたのでしょう。今回は2位と大きく躍進しました。
秋口には、絵本の雑誌に作品が掲載されることが決まり、商品化の話しも進んでいます。
イラストだけでなく、粘土による立体も会員同士の交流の中から、自分のスタイルもできあがってきました。
コツコツと、地道ですが活動を続けてきたのが、今年は花開くようです。
応援される方々も楽しみですね。

開楽さんの「ガマン大会」は、今回も連続して3位となっています。
開楽さんの場合は、しっかりとしたスタイルが確立しているので、今後の展開は作家自身の考え方次第と言う感じがします。
力のある方なので、明確なビジョンを掴めば、必ずそれを達成することができるでしょう。
ただ、それを理解し支えるだけの力が、今の日本の業界にあるかどうか。時代的な厳しさはあると思います。

佐藤さんの「恥ずかしがり屋のポスト2」は、今回4位であと1〜2回でゼネラルイメージです。
今年は、3Dの立体撮影やデジタルカメラのプロファイル変換の研究も実を結び、もうすぐまたライカの本が出版されるそうですが、まだまだ新しいものへの意欲は衰えていません。
昨年に続き、インドへの取材や、日本の民家など、新しいライフワークが続々と登場してきそうです。

日南田さんは、新規展示の「雪子鬼くんが帰った日」が5位に入り、昨年から展示されている「今年もよろしく」が、文字通り今年も順調で6位に入っています。
この「ちょろぴ」は、誕生から6年目に入り、2月末にはぬいぐるみが商品化され発売になります。2月のメーカーの内見会が終わらないと、正式な発表ができませんが、次回には詳しい内容がここでも発表できるでしょう。
日南田さんも、サポーターの方々からたくさんの力を分けていただいています。
励ましを受けながら進めている、絵本のための新しい試みも、いろいろ試しており「雪子鬼くんが帰った日」は、そうした成果の結晶でもあります。

前回9位だった荒木さんの「もの想ふ」が、今回は7位となりました。
この作品は「猫」をモチーフにした作品が圧倒的に多いギャラリーの中で、珍しく健闘を続けている「犬」の作品です。
荒木さん自身は、猫の「ニャーミィ」を描き続けていますが、オコジョやモモンガ、リスやウサギなど他の動物達も登場してます。動物達が好きなのでしょう、それぞれ愛情こめて描かれていますね。
この作品も犬との距離が程良く、タイトルと併せて犬への愛情が伝わってくるようです。
と言っても、この犬とは初対面で、その後も会っていないそうなのですが、何だかいつまでも側にいてくれそうな感じがしますね。

8位は木村さんの「花のある風景 うず」です。
冬の寒さからでしょうか?Be.Tooの移転の影響からでしょうか?少しサポーターの元気も落ちているようです。
最近は忙しくて、なかなか新作まで手がまわらないようですが、レベルの高い作品を評価してくれているサポーターも多いので、もうしばらくして落ち着いたら、今年も活躍を始められるのではないでしょうか。

初登場の奥岡さんの「温泉猫−おせち−」が、9位に入りました。
この作品は、和紙に筆で描かれたように見えますが、実際はIllustratorで制作したCG作品です。
作家が明確なイメージを持っていれば、コンピュータはそれを実現するための道具であることが、この作品を見れば良く分かります。
奥岡さんの作品は大岡山のピクシーズピンと言うお店で、色紙に出力した形で販売しています。
その方向は、昔のタイル画のやなせたかしさんの世界と接点があるような感じがしました。

同じく初登場のNORAの「イルカ」が10位に入りました。
偶然ですが、NORAさんもIllustratorを使って制作しています。
奥岡さんの作風と全く違うので、作家の個性や求めるイメージがいかに大切か伝わってきますね。
この「イルカ」に続くCG作品は、動物がモチーフのものが多いようです。
まだまだ勉強中ということなので、これからどんなイメージを展開して行くのか楽しみです。


ベスト10外では、11位「落ち葉」日南田さん、12位「ひつじ執事」宇多川さん、13位「顔のある風景/オーイ!」木村さん、14位「D公園にて」開楽さん、15位「親子シーサー」わたなべあやさん、16位「顔のある風景/ニコリンネ」佐藤さん、17位「なあに」なおねこさん、18位「世界をとめて」夜舟さん、19位「ここではないどこか」木村さん、20位「雨音」夜舟さんとなりました。

前回ベスト10に入られた望月さんの作品「青い花」は、まだ固定ファンの方が少ないようで、今回はあまり得票が伸びず、23位でした。早く固定ファンのサポーターが生まれると良いですね。
夜舟さんは今回ベスト10には入りませんでしたが、18位、20位に続き、21位「言葉にできない」、22位「さようなら」と各作品にそれぞれ票が入り、総合するとサポーターが広がっているのが分かります。
これからも、どんどん広がって行くのが楽しみです。

今回は、会員の作家としても方向性に関して、感じたことをとりあげてみました。
それぞれの作品に対し、サポーターの方々が感じることは、それぞれ違うかも知れませんが、その成長を暖かく見守って応援していただけると良いですね。
一生懸命制作した作品を、どう伝えたら良いのか?こちらも課題が山積みです。
ひとつひとつ解決して行きたいと思います。

以上でした。


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